スーパー戦隊50周年記念作『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』が、毎週日曜午前9時30分より、テレビ朝日系列にて放送中です。
本作は、その名の通り最高最強のナンバーワンを目指し、動物や恐竜=「獣(けもの、ジュウ)」をモチーフにした6人のヒーローが大活躍!全て集めると願いが叶う指輪「センタイリング」を巡って、ナンバーワン対決で争います。敵組織「ブライダン」や世界を滅ぼす存在「厄災」との戦いも激化する中、ゴジュウジャーの指輪争奪戦はどんな結末を迎えるのでしょうか。
アニメイトタイムズでは、最終回直前の『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』でメインライターを務める井上亜樹子さんとチーフプロデューサーの東映・松浦大悟さんの対談インタビューを実施! 終盤の脚本制作の裏話や最終回の見どころについて語って頂きました。
「佐織さんが厄災のボス」案も存在!?
——終盤の展開について、どのような話し合いをされましたか。
東映・松浦大悟さん(以下、松浦): 初期段階から決め切ってはいないんですが、「吠の願いはどうしましょうか?」っていうのはずっと話していました。そこで願いを見つけるために、吠の元に指輪が全部集まって「周りが全員いなくなっちゃう展開はどうか?」と。
脚本家・井上亜樹子さん(以下、井上): 終盤の方で決めましたよね。焼肉屋さんで「ラスボスを誰にするか?」って話をしたのって、いつ頃でしたっけ?
松浦: 台本作りで言うと、リボンちゃんが出る前くらいでしたね。夏に玲さん周りが一旦落ち着いて、そろそろ年明けの展開を決めていこうと話をしていたんです。そこで亜樹子さんに「最終回までのシリーズ構成・焼肉打ち合わせをしませんか?」と(笑)。
井上 : 玲さん編が一番大変でした。最初は玲さんという人を、自分の物にしきれない感じでしたね。玲さんのキャラクター造形は中澤監督に手を入れて頂いて、助けていただきました。
松浦: でも、最終的にはいい感じに着地出来たかなって思っています。ねちっこい人間臭い感じで。ある意味では“オルタナティブクオン”なのか(笑)。
井上 : 普通はスーパー戦隊なら作品に一人ぐらいのキャラですよね(笑)。
松浦: 別にこだわりでも何でもないんですけど「昔の男を出すのが手癖と言われてしまったら反省します」という感じです(笑)。
玲は、やっぱり馬場良馬さんがやってくれたことで非常に分かりやすくなりましたし、僕は坂本組の第34話 『散ずる戦禍、灰色の輝き』がすごく好きですね。そんな玲さん編が終わって「ラスボスをどうしましょうか?」という話になりました。
――誰をラスボスにするかは、複数案あったのでしょうか?
井上 : 私はぼんやりと第1話を書いた時から、佐織さんが肩書きが「大家さん」じゃなくて「管理人」になった時から、なんとなく「宇宙を統べる管理人」っていう設定が実はあって。「佐織さんが厄災のボスだった」説を真剣に考えていたというほどではないんですけど、なんか予感めいた感じで思っていたんです。
松浦さんが焼肉の会で「ファイヤキャンドル案」を言ってくれて。あと他にもラスボスっていうのは特に設定せずに、指輪争奪戦の決勝戦がラスボス戦に変わるような案もありました。ファイヤキャンドル案も魅力に感じたので、個人的にもいい選択だったと思っています。
松浦:意外に思われたのが僕的には不思議で。最初のライバルが最後の敵になっているっていうのは定番じゃないですか?少年漫画的な考えだと『NARUTO -ナルト-』でいう「サスケ」みたいな。多分みんなの中で、ファイヤキャンドルがライバルってことをもう忘れ切っているんだろうなって(笑)。亜樹子さんとか現場の反応を見て思いました。
僕の中で番組当初から一貫してやりたかったことは、「はぐれものの個人の集団で始まったゴジュウジャーが、1年かけてスーパー戦隊になる」という流れでした。
一方で、元々すごく仲良しの家族みたいなブライダンが、逆にはぐれ者になっていく。そういうコントラストがあると面白いんじゃないかなっていうのは、途中から嗅ぎ取って入れ込んでいきました。夏頃のシンケンジャーぐらいの時から匂いがあったかな?
佐織さんを敵にするにしては、ちょっと布石が足りなすぎるから、やるにしても例えば年明けからストロークをかけて道筋を整えていかなくてはいけないんですけど、ゴジュウジャー内の指輪争奪戦やレクスとの戦いもあったので、そちらを優先するべきだと考えました。
そして、ある意味その「世界の管理人」要素を引き継いだレクスの世界観というのは、鈴村健一さんの表現力に助けられましたね。この作品の性質上いろんなもの詰め込んだ結果になっているから、忙しい番組になりました(笑)。
熊手の運命、陸王とブーケの現代的な関係性
―― 第48話『覚悟の世直し!厄災の風の中で』では、熊手真白がレクスとの戦いの果てに衝撃の結末を迎えます。
井上 : 熊手にはカッコ良く死んで欲しいという思いがあって。クオンには生き恥を晒して欲しかったんですけど……(笑)。視聴者的にはクオンは死んでもそこまで悲しまないけど、熊手が死ぬと悲しんでくれると思っていたんです。
熊手は最初から「ほぼ神」の視点で「自分の人生はもういいや」と思っている人なので、「死」が相応しいと思っていたんです。
――陸王とブーケの関係も現代的で素敵な関係でした。
井上 : あのふたりの関係性はお気に入りです。ドラマ的にも盛り上がりましたし。個人的にはあくまで男女の関係にはならず、アイドルとファンの関係を崩さないでいくという意識は常に持っていました。
松浦:その割には甘いこと言いすぎじゃない?(笑)。鈴木くんの持つメロパワーが強すぎて「あれは勘違いするファン出てくるよ」という意見が多かったのが罪な男だなと(笑)。でも陸王はああいう生き方しかできないんですよね、だからアイドルなんだと思います。
井上 : 第42話が凄く良かったですよね。ブーケが「私は……生きていけます。貴方がいない世界で」と言って、陸王が一緒に歩んでいきたいと返して、ブーケが最後小さくうなづく。まるぴさんのブーケのお芝居もいいですよね。
松浦:第42話は最初からロボットでやりたいことって言っていた劇が、見事に佛田特撮監督と田﨑監督の手で成立させていただいたなと。
「肉親より、推しを取る」って話は共感できない人がいるだろうなと思ってはいました。「いやいや、リボンちゃんを殺しちゃった事実は変わらないわけだし、どういうつもりなの?」と考える人も居て当然だと思います。ただ、亜樹子さんが書いてくれた敵味方の関係よりアイドルとファンの関係は濃いものだっていうのが、個人的にはすごく響いて。
『ゴジュウジャー』ってそういう番組だよねって思っています。たとえ後天的な繋がりであっても、その方が大事になっちゃって、そこが居場所になることもある。今回はアイドルとファンの関係になるんですけど、そこはすごく僕としては納得いく展開だったと思っています。
―― 第47話 「GO FIGHT 陸王!百の夜が明けるとき」では、ブーケが応援するシーンも印象的でした。
松浦:第46、47話は打ち合わせはすぐ終わりましたね。今までの積み重ねでやることは決まってたので、そこがブレない亜樹子さんだから、信頼しています。
井上 : 珍しくすぐ終わりましたね。応援するシーンは書いているうちに思いつきました。
松浦:台本読んでいて驚いた記憶があります。「ブーケが応援しちゃうのか!」って。山口監督が「メインテーマ2回流すしかないのか、まあしょうがないな!」と笑っていました(笑)。
クオンの願いは「吠を許すこと」
―― 第43話『決戦クオン!天使からの贈り物』では、吠とクオン決着が描かれました。
井上 : 「クオンの本当の願いって何なんだろう?」っていうのが自分の中でも問いが結構ずっとあって。キャラクター設定の段階から、女王の呪いに縛られている自分の状況から、「本当は吠に助けて欲しいと思ってる」みたいな。脆さのあるイメージのキャラクターではあったんです。それを具体化できない自分がいて。吠とクオンの決着の回を書いているときに、「クオンの願いって吠を許すことなんだ。」っていうのが、ふと腑に落ちた瞬間があって、あのラストになりました。
松浦:「許す」っていう結末が、今はとても好きなんですけど……お恥ずかしながら一番最初は、クオンのその感情が理解できなかったんです。なんでだろう?と省みた時に、自分はクオンを「兄」というフィルター越しに見ていたんだな、と思い至りました。私事なのですが、自分も妹を持つ兄でして。兄として見ると、クオンが吠に謝るのは分かるんだけど、吠がクオンに謝るのが分からなかった。
嶺さんのことや、求婚とか酷いことしてきたクオンが「ごめん」と謝るのを「吠が、許すのか断罪するのか」って事なのかなと思っていたんです。
でも亜樹子さんは兄としてのクオンじゃなくて、〝遠野久光〟としてクオンを見ていた。ノーワンワールドに迷い込んで青春を奪われた一人の男の子として見ていたんですよ。そこで結構ハッとさせられたというか。「ああ、クオンは怒っていて、哀しくて、どうしようもなかったんだ」って。目からウロコが落ちたのが「俺を許せ」という台詞でした。
井上 : クオンの願いは「許すことだったんじゃないか」って言ったら、松浦さんは「なるほど……」と言っていましたね(笑)。
松浦:亜樹子さんとは読んでいる漫画が近かったりするんで、よく漫画の話をしたりするんですけど。亜樹子さんの中では、第8話のクオンのモデルは『HUNTER×HUNTER』のイルミのイメージらしいんですよ。「イルミがキルアをいじめるところを…」と言っていて、台本が上がってきたのがノリノリで4行くらいイジメ抜いていて...(笑)。読んだ瞬間に腑落ちしました。
クオン初登場の台本を読んだ時の興奮は新鮮に思い出せます。井上亜樹子流のイルミができるって思っていたら、「これは、イルミなのか?ちょっと違くない?」と思いつつ、あのクオンになりました。アニメイトタイムズさんの読者ならわかってくれるはず(笑)。
――「ははは!結婚しようよ、吠!」は、非常に反響が大きかったですね。
井上 : そうなるとは思っていなかったんです。自然とねちっこいキャラのクオンがテガジューンの側で「テガソードに結婚を望んでいるから、テガジューン側のノリとして、結婚しようよ」と。テンションが上がったクオンを書きました。結果的には、パワーワードになりましたね。
松浦:「ははは!」がいいですよね。テンション上がってるんだろうなって感じというか。
――放送を見てキャストの成長を感じることはありましたか?
井上 : 皆さん本当に何でもやってくださったので、こちらも遠慮なく書けました。禽次郎と譲二はだんだん本当に同じ人なんだ感が出てきましたし。
松浦:本当に松本仁くんはすごかったですね。第46話のゴジュウイーグル回も、最後に負けるかどうかっていうのは結構話したんです。「禽次郎の性格的に、本当に勝利を願うのかな」という話をプロットの段階で話した記憶はあります。
――白熱する指輪争奪戦からレクスとの戦いになっていきましたね。
松浦:指輪争奪戦の組み合わせは定石ですけど、因縁ある組み合わせにしました。熊手が散っていくシーンは亜樹子さんが映画『ターミネーター2』をやりたいと言ったら、田﨑監督が盛り上がっちゃって(笑)。
監督曰く、『ターミネーター2』の沈んでいく溶鉱炉サムズアップは、テレビドラマ版『ジャイアントロボ』のオマージュらしいんです。テレビドラマ版『ジャイアントロボ』って伊上勝先生(井上亜樹子さんの祖父)が脚本を書いているんですよ。だから田﨑監督は「亜樹子さんの口からそれが出るのは胸熱!」って言っていたんですけど、亜樹子さんはポカンとしていて「そうなんですか。盛り上がって何より」みたいな顔をしていましたね(笑)。ところで、実は亜樹子さんって8月のTVは1本も書いていないんですよね。自分が担当してない回で好きな回あります?
井上 : みんな良かったですけど、お気に入りなのは長谷川圭一さんが書いたブーケ記憶喪失回(第27話「バトルで勝ち取れ! 一攫千金!」)です。
松浦:長谷川圭一さんが「ゴジュウジャー、めっちゃ面白いよ」と褒めてくれて。圭一さんもクオンがすごい好きでクオンにめちゃめちゃ悪いことをやらせたい。亜樹子さんがちょっとマンネリを感じて、餅つきとかし始めた所だったから、「もっと悪の道を突き進まなきゃダメだよ!」って。その一方で餅つきもやっちゃったけど(笑)。
井上 : 松浦さんは「クオン警察」なんです。ちょっとギャグに寄せようとしたら、「それはちょっと」って言ってくださるので。丁度いい塩梅になりました。アーイー語が出来たのは良かったですね。
松浦:見方によっては、外国語を喋るカッコいいお兄ちゃんですもんね。というか、亜樹子さんがふざけすぎなんですよ(笑)。油断すると東映特撮はああいうキャラはギャグキャラ化することがありますが、それは嫌だったんで良いバランスが取れたと思っています。
アニメと特撮の脚本制作の違い
―― 井上さんは『キミとアイドルプリキュア♪』などアニメの脚本も書かれていますが、特撮・スーパー戦隊の脚本制作との違いはありますか?
松浦: 何日かは井上亜樹子脚本サンドイッチだったらしいですが(笑)。
井上 : コメディの大変さはありますね。アニメでギャグをやって滑っても勢いと演出で、そのままスルーしていけるんですけど、実写で滑ると本当に痛い感じになるっていう空気をちょっと感じました。その間の扱いっていうのはちょっと違う感じがするなって思いましたね。アニメだと流れていく感じがするんですよね。
松浦: 滑ってるところありました?
井上 : まあちょいちょい……(笑)。自分の笑いのハードルが結構高いんですよ。普段バラエティ見ていても笑わないんです。ギャグは無責任に書くんですけど(笑)。
松浦 : 確かにアニメの笑いを描くシーンとは違うかもしれない。
井上 : あと東映特撮は2話ずつ発注されます。アニメは1本での発注が多くて。『仮面ライダーガッチャード』の時は前後編みたいな感じで一つのお話でしたけど、『ゴジュウジャー』は単発で2話書かないといけなかったのは大変でしたね。
松浦: 撮影の問題というか、1話ずつだと撮影が1年間から飛び出しちゃうんじゃないかな。撮影のまとまりを1週間くらいは欲しくて、東映特撮の長い歴史の中で1組2話で進めるやり方が丁度いいんじゃないかと導き出されたんだと思います。
井上 : 今までは各話で参加したのなら、その各話なりに自分が参加した作品は自分の物でもあるという意識はあったんです。全然向き合い方が違うなというのを知り、キャラクターを通して自分のことを知れるような感じというか。それぐらい深く向き合うようなことが出来たし、周りの私のこと知っている周りの人からは、やっぱり書いてる人が出るなとか。
松浦: キャラを通して、どの辺が自分を見据えるなって思ったんです?
井上 : 吠ですかね。最初は自分と重なるところが微塵もないキャラクターになっちゃったと思っていたんですけど。でも書いてるうちに、「一番近いのは吠だった!」っていうことに気づいて。
松浦: 最初は「私には吠がいないんです」とか言っていて「嘘つけ!」と言った覚えがあります(笑)。でもそれって脚本家さんが、ある意味芳醇だから、色んな所に自分を切り売りできるじゃないけど、それが出来る人はすごいですよ。それは今まで培われてきた人間力だと思います。
――台詞力に惹きつけられる脚本でしたが、お気に入りの台詞はありますか?
井上 : 終盤でお気に入りなのは最終回の吠の台詞で、作品のテーマになる台詞があるんです。それは自分の中にもある問いだし、この作品のキーワードになります。最終回はその辺りも気にしながら見てほしいですね。
松浦:終盤なら僕は熊手の台詞で「指輪争奪戦、戦ってやれなくて悪いな」がすごく好きですね。あとレクス周りは亜樹子さんがノって書いているなと感じました。厄災というのは、善でも悪でもなくて、疫病のようにずっとある存在。大事なのはそれにどう対処していくか、というのは良く分かる話だし、そこは亜樹子さんと思想がシンクロしているなと思いました。あとスイートケークの台詞も凄かった(笑)。
井上 : 第46話の「なんぞやぽん」は褒めてくれましたよね。実はスイートケイクのモデルは、「家での私」なんです。
松浦:「ただいマウンテンゴリラ」っておうちで言っているなら、生活を疑いますけど……(笑)。「なんぞやぽん」は、本当に「なんぞやぽん?」ってなったし。でも上田麗奈さんはそんな台詞でも韻を踏むように読んでくれるからスゴイ! スイートケークの台詞は逆立ちしても書けないなあ。
スーパー戦隊シリーズの1つの節目
―― 『ゴジュウジャー』はスーパー戦隊シリーズの1つの節目の作品になりますが、当初からその想定だったのでしょうか?
松浦:実はこれで区切りってことは、数年前から決まっていたことだったらしいのですが、僕には全く知らされてなかったんです。知ったのは、第10話が放送された辺りだったかな。「よし、これからが新時代だ、1番バッターのつもりでイイ点取るぞ!」と思っていたら、「お前が立ってるの9回裏だから」と言われて「マジか!」みたいな(笑)。聞いた瞬間はショックでしたけど、今は逆に光栄に思っています。だって「区切り」だと知っていた白倉さんや上の人たちが、分かってた上でアサインしてくれたのって、凄いことじゃないですか。
それに、恐らく意図的に隠してくれていたんだと好意的に解釈しています(笑)。もし最初から聞いていたら、自分は色んな意味で萎縮しちゃっていたと思うので。そういう意味では、むしろすごく感謝しています。亜樹子さんに言ったのはだいぶ後ですね。
井上 : 私はスーパー戦隊が続かないっていうのはショックでしたね。『ゴジュウジャー』が終わらせた感が出ちゃうのかなとも思いましたし...。
松浦:でも『ゴジュウジャー』って、戦隊という枠からはみ出したい風を装っていますけど、実は最初から「スーパー戦隊ってこういうところがいいんだ!」という部分を僕らなりにやってきたつもりなんです。だから、安易に方針転換するよりも、結局『ゴジュウジャー』という番組としてよき終わりを迎えるってことが、シリーズにとっても良いことなんだと思い込んで突っ走りました。
スーパー戦隊シリーズの総決算感は、Vシネクスト『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVSブンブンジャー』の方に込めていますので、楽しみにしていてください!
―― 「DXセンタイリング」や「DXテガソード」など年間を通して好評なアイテムでした。
松浦:『ゴジュウジャー』って、有難いことに数字の上では非常に優等生だったんです。視聴率や玩具の売上は年間を通して良かった。「DXリョウテガソード」なんかもバンダイさんから「クリスマスに店頭から消えました!この10年ないことです!」と喜びのお電話があったくらいだったので、少しはお役目が果たせたのかな、とホッとしています。夏映画も『仮面ライダーガヴ』さんのお力ありきですが、すごくいいゴールラインを切ることが出来ました。
スーパー戦隊シリーズが一区切りになることも含めて、いろんな強風・暴風があったんですけど、全部それが追い風になって、結果としてはすごく良い着地になったと思います。
最終回まで届けられたのは、東映の底力
――松浦さんはチーフプロデューサー初担当でしたが、走り抜けた感想を教えてください。
松浦:準備期間を含めて、人生で一番長い2年間だった感じはしますね。でもやりたいことは全部出来ました。
ここで予告しておきますと、最終回で、如実にキャスト交代の問題が現れているシーンがあるんです。もはや笑っちゃうぐらい(笑)。実は最終回が一番大変な時期に撮らなくてはいけなかったから、その中での最善策を尽くしたのですが、そのツギハギを見ると、とても悔しい気持ちにはなります。でもそんなことを思う度に、吠から叱られるような気がして。吠って、過去にいろんなことがあったけど、それでもなんとかこの世界で頑張って生きようとしている人じゃないですか。そう思うと吠を見習って、この番組も吠みたいに立派な作品になれたらいいなと思っているんです。だから、その辺はもうチャームポイントだと思うようにしていますので(笑)。出来ることなら、皆様もそのおつもりでご覧いただければ幸いです。何より、そんな大変な状況の中、撮影をやり切ったキャスト陣の堂々たる表情を、ぜひ見ていただきたいです。
ここまで走り抜けてお届けできたのは、東映というスタジオの力強さと底力のおかげです。本当に凄いスタッフ・キャストだと思っていますし、いろんな状況が、この番組で伝えたいこととリンクしていた。色々悔しい思いをしましたけど、後悔はないし、今は晴れやかな気持ちでいます。
――予期せぬことも多い番組制作だったと思いますが、ピンチをチャンスに変えて乗り越えた場面もありましたね。
松浦:『ゴジュウジャー』はなんでもありの世界観でやってきているから、志田こはくさんへの交代劇もできたのかなとは思います。
でも第40話で一番良かったのは、最初の1分は志田さん効果で「おぉ!」ってなるけど、終わった頃には僕たちが育ててきた『ゴジュウジャー』の本軸、つまり陸王とブーケの関係で、みんなを引き込めたかなっていう体感があったことです。そうやって巻き返せたのは、まるぴさんの頑張りあってのことだと思いますし、陸王とブーケを育ててくれた亜樹子さんの力だと思いますし、山口監督も頑張ってくださいました。負けない番組で良かったです。どの番組でもできることじゃないと思いますね。
――どんな状況でも沢山のゴジュウジャーのファンの方が、応援し続けてくれましたね。
井上 : いろんなことがあって悔しい思いもしたんですが、愛せる作品になったことが嬉しいですね。
松浦:そうですね。ファンの皆様が変わらずに、応援し続けてくれていることがすごく嬉しい。でも、ひとつずっと謝りたかったことがあって。それは子どもたちも含めて、キャスト交代で、角乃を好きだったファンの方々が、好きでいられなくなっちゃう可能性を作ってしまったこと。そこは本当に申し訳なかったと思っています。
だからこそ、まだ角乃というキャラクターを見続けてくれている方が居るのが本当に嬉しくて。SNSで角乃のファンアートとか、Gロッソでユニコーンの団扇とかを見ると、本当に泣きそうになるんです。だから「角乃を好きでいいんだ」と思ってもらえるように、我々もずっと大切なキャラクターのひとりとして作っていくつもりです。角乃ファンの皆さんには、「引き続き、角乃をよろしくお願いいたします。そして応援してくれて、ありがとうございます!」と強くお伝えしたいです。
――最後に、最終回の見どころと1年間応援してくれたファンに向けてメッセージをお願いします。
井上 : 最終回のテーマは“日常”なのかなと思っています。吠は幼い頃にノーワンワールドに迷い込んで、その後も帰ってきてからも人間界に毎日馴染めず指輪争奪戦に巻き込まれ、ずっと“日常”というものから縁遠い人だったと思うんです。「そんな吠が“日常”を手にすることができるのか?」「それはどんな日常なのか?」というところをぜひ注目してください。
ファンの皆さんには自分が生み出したキャラクターをすごくたくさんの人に愛していただいて嬉しかったです。いろんなファンアートや考察とか書いてくださる方もいて。自分も割とオタク側だったので、そういうものを書く側だったんですけど、改めて自分の作品でやっていただいて、すごく嬉しかったし、励みになりました。
松浦: “日常”っていうワードについて「『ゴジュウジャー』はそれを大切にしていたんだな」と1年をかけて分かったというか。過去とか未来ではなく、今、生きてる世界をみんなどうしていくのか。今を肯定できる作品になればいいなと思います。
最終回は堂々とした仕上がりになっているので、笑ったり泣いたり、全力で皆さんの感情をぶつけてください。「この野郎!」と思っていただいても構いませんし、「最高だ!」と思っていただいても構わないです。
こちらも全力をぶつけますので、皆様も全力でぶつかっていただけますと幸いです。よろしくお願いします!